考察19 どこでもドア
「スマホのアプリ見てたらさぁ」
「うん?」
「なんか未来のクルマのことが書いてあったんだけど。これ、どう思う?」
「どれ?あぁ、このアプリね。俺も入ってる。まだ更新されてないから、俺も読んだ見るわ」
「未来とか聞くと、ドラえもんとか想像するよね。実現なんてしないんだろうけどさ」
「そんなことないでしょ。俺はドラえもんの道具で実現するだろうなって思ってるの、何個かあるけど」
「えぇ!?嘘でしょ?」
「そんなに驚く?」
「え?だってあの道具だよ?ドラえもんの秘密道具だよ?」
「だからそうだって」
「じゃあなにが実現するのか、ちょっと言ってみてよ」
「嫌だよ。こういうのは皆に言わずに、自分の中で暖めときたい人なんだよ、俺は」
「私にだけこっそり教えてよ。教えてください」
「いやいや、そんなに知りたい?てかこんなの確証もなにもないから、言ってもフーンで終わるよ?むしろそういうのが嫌だから言わないんだけど」
「聞いてみないとわかんないでしょ?とにかく言うだけ言って見ようよ結果はそれからだよ」
「うーん、じゃあ言うけど、通り抜けフープだっけ?あれは多分近いうちに出来ると思う」
「ほんとに?!すごいね、何でそう思うの?」
「言ってぴんとくるかどうかわかんないけど、ヒッグス粒子ってやつが見つかったから。理由はそれだけなんだけど」
「ヒッグス粒子ってなに?」
「今まで見つからなかった、17番目の素粒子。素粒子同士をつなぐ働きを持ってんだよ。だから神の素粒子とも言われてるんだよね」
「それが見つかったの?で、通り抜けフープが出来ることと、どういう関係が?」
「簡単に言うと、素粒子同士をつなぐ事が出来るってことは、それをばらばらにすることも出来るってこと。つまり、このヒッグス粒子を
コントロールするところまで技術が発展すれば、建物でもなんでも通り抜け出来るでしょ?」
「なんか、すごいね」
「ほら、リアクションに困ってんじゃん」
「そんな事ないって、結構普通に驚いてるんだけど。なんか理解できないようで、出来るような、そんなところに脳がいってて」
「確証はないけどな、でも、そういう仮説の話をしたら、なんか出来そうって思うよね」
「すごいね、あとは?」
「あとは、そうだな。どこでもドアかな」
「えぇ!?ほんとに?」
「うん。しかも、もう出来てる」
「それはないでしょ。どこにあるの?」
「いや、そこらじゅうにあるけど?」
「それはちょっと、君、どこにでもあるドアだからどこでもドアって、そういう話じゃないんだけど。ドアを開いた先が、目的地と繋がってないとだめなんだよ?」
「だから、あるじゃん。自分の住んでる家なり、マンションなり、その扉を開けたら、目的の場所まで繋がってるでしょ?ちゃんと空間は一つで繋がってる。
もう、これってどこでもドアじゃん」
「詩人か。でも、すぐに目的地にぱっといけるわけじゃないよね?」
「時間のことなら、多分もうすぐ解決するよ」
「どういうこと?」
「今度は光の粒子を見つければいい」
「また粒子の話?」
「そう、粒子。早く見つからないかなぁ」
「大学入り直せば?」
「見つかったら、そうするよ」