考察38 理想と想像 内側と外側
「それはさ、なんの為にしてるわけ?」
「え?それって、どれ?」
「いや、ご飯半分にするとか。もう1週間くらいになるよね。おばちゃんも不審がってるし」
「いやいや、私だけじゃないでしょ。てか何の為ってそりゃダイエットでしょう」
「必要なの?」
「まぁ、夏だからね。この季節に合わせて、体型を変えないと。私たちは恒温動物だけど、体型は常に一定に保てはしないんだよ」
「痩せ易い季節だからってこと?じゃあ冬になるとどうなるの?」
「それ、聞く必要ある?冬は相対的に熱量が必要なんだよ。そういう風に出来てるの、知らないの?」
「知らないけど。でもまぁ、持論があってしてるんなら、なにもいわないけど。身体壊さないようにね」
「心遣いは感謝するけど、気遣いなんていらないからね。これは戦いなんだよ。分からないだろうなぁ」
「季節ごとに多少変化するのは一般的だけどさ、やりすぎってあんまりよくないと思うけどなぁ」
「毎年、そういう変化を起こしてれば、身体のほうも、お、今年もまたあの季節かってなるでしょ?」
「そんな風に出来てたっけ?でもまぁ、その環境における身体的特徴って理にかなっている場合は多いけどね」
「でしょ?」
「うん。やっぱり本能的なものが大きいのかな。温度的な環境によって体型が変わる事は自明だし、例えば、
災害時のような栄養補給が困難な時には当然、その栄養に合わせた体型になるし、運動を長時間続けなければならないような場合は、
柔軟性に長けた、しなやかなフォルムになるだろうしね」
「カロリー摂取とのバランスが取れない人なんていないもんね。食べてないのに痩せないって、それ絶対どっかで食べてるからだし」
「そういうことだね。逆に、身を置く環境が栄養補給に制限がなく、かつ、長時間の運動を必要としないとなれば、
あとは自分のイメージ通りになるというわけだね」
「イメージ通りってでもそれ、全員じゃないでしょ?」
「いや、全員じゃない?今はほとんどの人が自分の理想通りの生活をしてると思うけど」
「でも、太ったりするのが嫌なのに、そうなっちゃうことってあるじゃん。それはイメージ通じゃないよ」
「いや、イメージ通りだね。もし、そんなことを気にするような人なら、カロリーを摂取する際に必ずイメージしているはずだから。
摂り過ぎるから、理想と離れてしまうんだよ」
「想像と理想が違うって言ってるわけね。なんか太ってるのが悪いみたい」
「悪いかどうか決めるのは自分だよね。他者から見た自分をイメージするのもまた自分だよ」