考察39 コリオリの力について
「うわっ、高いね。どんどん人がちっさくなってく」
「建物も小さくなってくよ。あとどんどん仕事量が増えてく」
「こわっ!ちょっと、そういうこと言うのやめようよ。急に恐怖心が」
「でも、その代わりにすごく便利じゃん。ここまで発展させてきた人たちに感謝だよね」
「これがないともう生きて行けないって人もいるかな?」
「うーん、多分いるんじゃない?高層ビルの最上階に住んでる人なんか、これがなかったら、もう途中で何回も休憩しないといけないと思うし。
そうなると、需要は逆転するかもね。」
「建設途中なんかでも、エレベーターがなかったら、はかどんないよね」
「間違いなく滞るよね。建設期間なんか、何倍もかかるだろうし。事故も増えるんじゃない?ていうかそもそも高層の限界も出てくるんじゃないかな」
「普段何気に使ってるけどさ、すごい装置だよね。文明の利器?」
「まず、間違いないね。原理的には難しくないけど、機械化するとコンピューター制御はなくてはならないものだろうし。
安全性が高い分、事故が起きると目立ってしまうっていうのが、なんとも言えないけど」
「でもそれは他の設備でも一緒じゃない?人の生命に関わるような事故に繋がってる設備機器ってどうしても注目されちゃうよね」
「うん、それはそうだね。そうして注目することで、より安全性が問われて、より良いものが出来るって構図にもなってるし、全部が悪いわけじゃないか」
「そういえばさ、もうこれで宇宙行けるんでしょ?テレビでやってた」
「これで、ではないけど、そうだね。軌道エレベーターの研究はどんどんされていってるんじゃない?」
「地球を超えて宇宙までケーブルを繋げるんでしょ?」
「うん。静止軌道上の人工衛星と地上を繋げるんだって。そんなこと出来るくらいの科学技術が将来的に期待できるってことなんだろうね。
地上からびよーんってケーブルが伸びてるってすごいシュールな光景だよね」
「飛行機とか、引っかからない?」
「どうだろ?でもコリオリの力があるから、ケーブルの途中の部分は変化しそうだけど」
「コリオリって?」
「コリオリさんってフランスの科学者だけど」
「その人の力ってことか。ちょっと勘違いだよね」
「うーん、やっぱり自分の名前をつけたかったんだろうね。いいじゃん、覚え易くて」
「でもカタカナでしょ?最後のがカタカナなのか漢字なのか迷わない?」