考察40 ピストルとチャカとはじき
「ミステリとか読んでるとさ、やっぱり人が死ぬんだよね」
「え?まぁ、ミステリってそういうものじゃない?事件について解決する物語が多いと思うけど」
「殺されると、やっぱり事件性が高いから、そういう風にもっていくのかな?作者は」
「読者の事を考えると、インパクトが強い方がいいだろうから、そうなんじゃない?
むしろ人が死なないミステリってあんまり読んだ事がないかも。しかも一人じゃなくて複数死ぬよね」
「殺人事件よりも連続殺人事件のほうが規模が大きいからかな。作家さんってある意味恐怖だよね」
「創作ってそう言うものでしょ。そんなこと言ったら、漫画家も映画監督もドラマの監督も、あと絵本作家だって、
そういうことをしてる人が大半だと思うけど」
「うーん、そういうことを擬似的にでも人が望んでるってことなのかな」
「君はそういうの読んだ事ない?」
「ある。あぁ、そういうことなのか。でもなんでなんだろう」
「本能的なものじゃない?この前も話したことかもしれないけど、人って知らないことに恐怖する動物だから。
死後って基本的に見てきた人はいないと思うんだけど、やっぱりそこはどんなものなのかって知りたいっていう欲求があると思うんだよね。
想像でもいいから、見てみたいって考えるのは普通のことだよ。作家さんはある意味、その想像力が高い人種だろうから、それを明確に提示することは、
人の欲求に答える事、つまり、需要のあることって言う風に考えるんじゃない?」
「ピストルでばんってやっただけで、死んじゃうんだよね」
「当たりどころにもよると思うけど。でも致命的だろうね。ミステリにそんな場面が出てきたの?」
「うん。描写がリアル過ぎて、ちょっと考えちゃった。警察とヤクザさん達の話」
「なんかミステリっぽくないけど、作者はだれ?」
「忘れた。ねぇ、ピストル持ってるのって、日本だったら警察か、やくざさんだよね」
「うん、たぶん。ヤクザさんには、はじきとかチャカって呼ばれてるみたい」
「すごいネーミングセンスだよね。誰が考えたんだろ?普通に拳銃って言うとやっぱり体裁が悪いのかな?」
「だろうね。えっと、うん、やっぱり隠語だって」
「隠語?隠れてなくない?」