考察18 詐欺 詐欺師
「この場合、Aが悪いのか、それともBが悪いのか、どちらだと思う?」
「どちらが悪いかって、そりゃ、だます方でしょ。裁判でもだます方が、刑にかけられるわけだし」
「だよね。でも実際、その被害を被っているのはBだよね」
「あぁ、AにしてもBにしても、それぞれの視点から言うと、それぞれが被害を被っているから、
そのどちらも、結果的に悪い環境になっている、ってことを言いたいわけ?」
「うん。だからなんでなのかなって。詐欺とか、結局捕まるんだしさ、やらなきゃいいのにって」
「まぁ、捕まらないと思うからやるんじゃない?」
「でも、今までの事件を見ても、時効になってるケースなんて少ないよね?あれ?もしかして少なくないの?」
「扱われた事件については解決しているのがほとんどじゃないかな。問題は扱われていない事件がどれくらいあるのか。
俺たちには、この情報が入ってくることはないよね。だからわからないなぁ」
「日本の警察って優秀なんでしょ?事件が起きれば、解決するまでやるっていうイメージあるんだけどなぁ」
「うん、それはそうだと思うよ。でも、その事件が起こったことって誰が気づくの?」
「それは被害者から通報があってでしょ」
「それはつまり被害者からの通報があるからこそ、その事件が起こるってことだよね?じゃあもし、
被害者側からの通報がなければ?」
「うーん、それは困ったね」
「こういうところに詐欺師は付け込むんだろうね。当分被害は続くんじゃないかな」
「えー、そんなのあんまりだよ」
「うん、だから、まずは被害者側の心構えが必要になってくると思うよ。詐欺師が使う常套手段なんか、結構テレビでもやってるよね」
「あー、でも、だまされないように気をつけるってなに?」
「なんだろうね、人の話をきちんと聞くってことなんじゃない?その時の感情の揺れを、詐欺師って巧みに扱ってるんだと思うよ。
相手の不安になるようなことを話に盛り込んで、不安をあおぐことで、安心する為にはこれをしなさいって言うんだろうね」
「あなたに不幸な事が起きようとしてるから、これを持っていなさいってことか。で、それを買わされると」
「単純に言うと、そんな感じじゃない?人ってなにが一番怖いかって、自分の知らないことが怖いんだって、何かで聞いた事あるし。
うん、これ、多分間違ってないよね。その逆に知識欲があるわけだ」
「そうか、でも、そうだね。確かにそうかも。占いとかもそういう部類の一つ?」
「どうだろ?一概には言えないけど、でも、両方持ってるんじゃない?安心と不安の二面性があって、そのどちらも伝えてるんだと思うよ。
でも、その職業に詳しくないから、ごめん、わかんないや」
「私は占いとかあんまり信じないから全然良いんだけど、なんか気になって。あ、でもさ」
「ん?」
「これって多分使い方次第だよね?詐欺に使うからいけないわけであって、自分をよく魅せようとしてる人って、意図的ではないにしても、
こういうような仕組みを使って、話とかしてるよね、多分」
「それは、わかんないけど、まぁ、使ってるかもね」
「すごいシステムだねぇ。いや結構、結構」
「いや、詐欺とかには絶対使っちゃだめだよ?!」
「いや、だから結構だって」
「え?」
「結構の意味、『全体の組み立てや構造を考える事』です」
「・・・まぎらわしいわ」