考察20 自転車とジャイロ効果
「自転車とかバイクってさ、なんで倒れないんだろ?」
「いや、倒れると思うよ?」
「そうじゃなくて、こう、走って、スピードとか出てくると、手はなしても大丈夫じゃん?」
「あぁ、そういうことね。2輪でも、倒れずに、安定するってことね」
「そうそう。じっとしてたらさ、乗れないじゃん?そりゃあバランス感覚のすごいいいひとなら、別かもしれないけど」
「バランス感覚が良くても、大勢を保つ為に微妙に動かすとは思うけどね」
「うん、だから、止まってるときと動いてるときでは何が違うんだろって。スピード?」
「それはジャイロ効果ってやつだよね。詳しくは知らないけど、進行方向に向かって、車輪がまっすぐに向いているときは、倒れそうになっても、
その進行方向の力のほうが大きいから、少しの方向修正で、姿勢を保てるっていう」
「ふーん、ジャイロ効果ね。もう今後絶対使わない単語だ」
「そうかも。でもバイクとクルマだったらクルマのほうがいいなぁ。安定感とかもそうだけど、やっぱり便利だし」
「私もそうかも」
「昔からさ、何かを運搬するとき、人も含めて、物を運ぶには車輪が必要だったんだよ。
だからあの円形を作ったことが、最大の発明だったんじゃないかな」
「まるい形って自然界にも存在するから、当時そんなに知恵とかついてない時代でも、ここに行き着くのは当然だったのかもしれないね」
「うん。何かをどこかに運ぶにはそれにそうとうする仕事をする必要があるよね。
それが、ころ、であり、荷車であり、馬車だったわけだ」
「馬車かぁ、あれ、乗り心地どうなんだろ?車輪にゴムとかついてたっけ?」
「ゴムもそうだけど、サスペンションの部分がないから、乗り心地は悪いだろうね。あと、サスペンションがない場合は、
その車道が平坦かどうかってのが関係してくると思うけど、石畳はどう考えても段差とかでごとんごとんするだろうなぁ」
「そっか、そうだよね」
「それとは別にしても、ころとか荷車とか馬車ってさ、運搬する対象を中心にその四隅に車輪が存在する形でしょ?
ころはちょっとイメージが違うけど、概念的にはそうだと言えるよね。つまり車輪は4つ要るってことになる」
「うんうん」
「それがバイクとか自転車になると、車輪が2つになる。当然、車輪が4つに比べると、不安定になるのはしかたないよね。
で、それを補うのは、ライダーの姿勢と運動神経によるものってわけだ」
「車輪が4つから2つになることで、得たものってなに?」
「うーん、小回りとか、スピード感とか、あとはやっぱり手軽さじゃない?」
「じゃあさ、車輪が2つからゼロになると、どうなるだろ?浮くのかな?」
「どうだろうね、浮かせるにはそれそうとうのエネルギーがいるだろうから、さっきいったメリットがまったくなくなるよね。
車輪がなくなっても動くものか。もしかしたら未来の運搬方法は、車輪の概念ではないのかも」
「というと?」
「うん、まぁ、都市部とかにしなないだろうけど、相当に準備されたインフラじゃないと、その車輪がゼロっていう運搬機は実現しないだろうね。
そもそも、物を運ぶ、っていう概念がなくなる可能性のほうが高いんじゃないかな」
「どらえもんの世界だね」
「あれも実現可能な未来だろうからね」